子どもは大人に比べると、すぐに熱を出したりお腹をこわしたり…。
その度にパパやママは心配になってしまいます。
子ども特有の病気もたくさんありますが、きっと多くお子さんが経験する病気に「夏風邪」があります。
子どもの夏風邪は「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」の3つが代表的です。
今回はその中でも、軽く見られがちな手足口病についてお伝えしたいと思います。
実は、極稀に、熱性けいれんや髄膜炎、脳炎、心筋炎などを発症してしまうと、重症化し命の危険もある場合があります。
目次
手足口病ってどんな病気?
特徴
暑さで免疫力が低下しやすい夏場に流行する、ウイルス性の感染症です。
特徴的な発疹が、口の中や手足に現れるためこの名前がついたといわれています。
手足口病にかかるのは、80%以上が5歳以下の小児ですが、まれに大人にも感染することがあります。
原因となるウイルスが1つではないため、麻疹や水痘のように1度かかると終わりではなく、何度も発症してしまうことがあります。
原因
原因はウイルスが体内に入ることです。
主な原因ウイルスは「エンテロウイルス71型」と「コクサッキーウイルスA群」といわれていますが、その他にも複数の種類があるため何度もかかってしまう可能性があります。
・飛沫感染…咳やくしゃみなどにウイルスが含まれており、それを吸い込んでしまう。
・接触感染…手を繋いだりタオルを共有するなど、ウイルスのついた所を直接触る。
・糞口感染…オムツ交換の際などに便から感染する。
潜伏期間
ウイルスに感染してから、症状が出るまでの期間を潜伏期間といいます。
手足口病の潜伏期間は3〜6日です。
潜伏期間中も感染力があるため、手足口病の子どもに全く接触した記憶がなくても、気づかない間に感染している場合があります。
症状
初期症状は、2mm〜3mmほどの発疹や水疱が、手のひら・足の裏・足の甲・口の中に複数できます。
手や足の発疹に強い痛みを感じることは少ないですが、発疹が出る前に手足にかゆみを訴える場合もあります。(必ずかゆみがある訳ではありません。)
口の中の発疹は痛みを訴える子どもが多いため、その時に手足口病が発見されることがあります。
また、発熱については全体の1/3程度のため、発熱がない場合の方が多いです。
発熱したとしても高熱(39℃以上)になることはほとんどなく、数日で自然に解熱することが多いです。
手足口病が長期間に及んだり、重症化することはほとんどありませんが、他の疾患と合併することで、最悪の事態になることもあります。
もっとも注意が必要なのは脱水です。
手足口病がなぜ脱水?と思うかもしれませんが、口の中の発疹がある場合は、食べたり飲んだりすることで痛みを感じることから、水分を摂取することを嫌がってしまい、脱水が起こりやすくなります。
また極稀に、熱性けいれんや髄膜炎、脳炎、心筋炎などを発症してしまうと、重症化し命の危険もあります。
かからないための予防が重要
原因が複数のウイルスであるため、現在有効なワクチンや予防薬はありません。
そのため、普段の生活の中で、予防の意識を高めることが重要になります。
1.手洗いうがいを徹底する
手足口病に限らず、感染症の予防はまず手洗い・うがいです。
帰宅した時、食事の前、トイレの後などは必ず手洗い・うがいをし、手や口の中のウイルスを洗い流して、体内への侵入を防ぎましょう。
2.手指消毒
手足口病の原因となるウイルスは、熱やアルコールに対する抵抗力が高く厄介なのですが、
「酸性アルコール」は効果があることがわかってきました。
酸性アルコール消毒剤で、こまめに手指消毒することも、有効な予防法といえます。
3.マスクの着用
感染経路の1つである、飛沫感染の予防には効果があります。
しかし、子どもの場合はマスクを嫌がって常につけさせておくのは難しいかもしれません。
4.規則正しい生活
バランスのとれた食事をして、早寝早起きできちんと休息をとることで体力・抵抗力を高めましょう。
5.排泄物の処理に注意
赤ちゃんのオムツ交換の際や使用済みのオムツの処理には十分注意し、適切に行いましょう。
手足口病にかかってしまった時の対処法は
手足口病はウイルス感染症のため、抗生物質などは効かず、特効薬はありません。
そのため対症療法を中心に行い、自然に治るのを待ちます。
発熱があり辛そうな場合は解熱剤を使用したり、口から全く食べられない場合は点滴をしたりもしますが、ほとんど使うことはありません。
口の中の水疱の痛みを緩和する鎮痛剤や保護剤、手足のかゆみを抑える塗る薬などは処方されることがありますので、適切に使ってあげてください。
基本的には、しっかり食べしっかり休んで自己治癒力を高めることが重要です。
食事は、刺激が少なく熱くないものを準備し、あまり噛まなくても良いものを食べさせてあげましょう。
また水分もこまめに摂れるようにしてあげてください。
ジュースには刺激が強いものが多いです。
牛乳や冷たいお茶、スポーツドリンクなどを少しずつ何回も飲ませてあげるといいでしょう。
食事もまずまず食べられており、機嫌もよく過ごせているのであれば、急いで小児科を受診する必要はありません。
しかし、以下の症状が現れた場合は、違う病気の可能性がありますので、すぐに小児科を受診してください。
・急に高熱が出た
・ぐったりしている
・激しい頭痛や嘔吐がある
・視点が合わない
・水分が全く摂れない
・呼吸が早い
・反応が鈍い(意識がもうろうとしている)
保育園や幼稚園への登園はいつから大丈夫なのか
熱がなくしっかり食べられていて、普段通り元気なら登園しても大丈夫です。
ただし、発疹がある場合には、水痘などの可能性もあるため、必ず小児科で診てもらってから登園するようにしましょう。
手足口病は、学校保健法に指定された登園・登校停止疾患ではありません。
(便や唾液などからのウイルスの排出期間が長いため、流行を防ぐために登園・登校を停止しても意味がないとされているためです。)
まとめ
手足口病は、夏風邪の一種であり、ウイルス感染によって発症します。
子どもによく起こる病気で、何度も繰り返すこともありますが、重症化することは稀で、適切な対応をしてあげれば、数日で治る病気です。
しかし、病気はかからないにこしたことはありません。
普段から予防に対する意識を高め、規則正しい生活を心がけましょう。